
レーザーの正式名称は「Light Amplification by Stimulated Emission of Radiation(誘導放出による光増幅放射)」の頭文字の略ですが、簡単に言うと「ひとつの波長で、まっすぐピンポイントに突き進む光」です。まさにレーザービームのイメージそのものですね。
一方でIPLは「Intense Pulsed Light」の略で、こちらは「有害な光を取り除いた、様々な波長がブレンドされた光」を指します。
つまり、レーザーは「単一の波長」、IPLは「複数の波長が混ざったもの」を照射するという違いがあります。 さらに、シミ治療でよく使われるQスイッチレーザーやピコレーザーは、パルス幅(光が出ている時間)が非常に短いため、肌の奥深くまで光が届いて表皮全体の組織にしっかりアプローチできます。これに対して、IPLはパルス幅が長く、フラッシュランプの構造上パワーの減衰が強く起こることもあり、奥深くまでは届きません。そのため、肌の浅い部分にある濃いシミには反応しますが、「根本から消し去る」というよりは「全体的に薄くする」という仕上がりに近くなります。
そのため、特定のシミをターゲットにして、根本からしっかり治療したいのであればレーザーがおすすめです。
IPLはマイルドな光を広範囲に届けるため、シミを劇的に消すほどのパワーはありません。しかし、シミを少しずつ薄くしながら、同時に赤みの改善やコラーゲンの生成もサポートできるため、「お肌全体をトータルでなんとなく綺麗に、かつ維持をする」というアプローチが得意です。
ちなみに、「赤み」に関しては基本的にレーザーでないと消すのが難しいケースがほとんど、というのが一般的な見解です。 ヘモグロビン(血液の成分)に狙いを絞った色素レーザー(585nmや595nm)やアドバテックスレーザー(589nmと1319nm)などを使うと、肌を傷つけるリスクを抑えて綺麗に治療できます。 近赤外線レーザー(CO2レーザーなど)で血管を焼き潰して消す方法もありますが、こちらはやや傷跡が残るリスクを伴います。このあたりは、クリニックの設備や医師の技術によって治療の選択肢が変わってくるところです。色素レーザーは非常に優れた機械ですが、実は美容クリニックでは置いていないところが少なくありません。保険の皮膚科のほうが取り扱いは多いかと思います。
赤み(毛細血管拡張)を治療するには長い照射時間が必要なため、最近私自身はIPLでも短い波長域(ヘモグロビンやメラニンに吸収されやすい波長)にピークパワーが出せるルメッカ(515-1200nm)というIPLを愛用しています。IPLは原則的にロングパルスなので、しっかりと短い波長域でピークパワーが出せるのであればむしろレーザーよりも有効な可能性を感じています。IPLならなんでも、というわけではありませんが、ルメッカであれば上手に使えば赤み治療器としてかなり優秀、と胸を張って言えます。
結論として、IPLでも適応する症状であれば十分に効果は期待できます。 もし今通っているクリニックの先生が、自信を持ってIPLを提案してくれるなら、それは効果が見込めるサインだと思って良いでしょう。 ただ、「どのIPL機器が自分に合うか」を一般の方が判断するのは難しいため、よりシミや赤みに対し確実性を求めるのであれば、まずはレーザーを選択するのが無難と言えます。
崎尾怜子
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