笑った顔も確認してからヒアルロン酸を注入してもらってますか?

ヒアルロン酸で不自然な顔にならないために私が注入前に「笑顔」を確認する理由を説明します。
「ヒアルロン酸には興味があるけれど、頬がパンパンにならないか心配」
「若々しく見せたいけれど、自分らしい表情は変えたくない」
そのように感じている方もいらっしゃると思います。
私がヒアルロン酸注入で大切にしているのは、真顔のときだけでなく、笑ったときにも自然に見えることです。
先日の学会発表でも少しお話ししましたが、今回は、注入前に「笑顔」を確認する理由を、顔の解剖学とともにご紹介します。
真顔では平坦でも、笑うとふっくらする頬
真顔では頬が少し平坦に見えても、笑うと頬が上がり、ふっくらとした丸みが現れることがあります。この丸みは「アップルチーク」と呼ばれます。
この動きに関わる構造の一つが、横顔面中隔(Transverse Facial Septum)です。
横顔面中隔は、頬の内部にある膜状の結合組織です。笑顔をつくる大頬骨筋の動きに伴って張力がかかり、頬の脂肪組織が上方へ移動することに関わると説明されています。
つまり、笑うことで組織そのものが増えるのではなく、位置や形が変わり、頬のふくらみが目立つようになるのです。
参考:Cotofana Anatomyによる解剖学的解説
真顔だけを見て注入すると、どうなる?
真顔で平坦に見える部分を、すべて「ボリュームが足りない」と判断してしまうと、必要以上にヒアルロン酸を追加してしまうことがあります。
もともと笑ったときに十分な丸みが出る頬に、さらにボリュームを加えると、表情をつくった際にふくらみが強調され、不自然に見える場合があります。
だからこそ、私が確認するのは「真顔でどこがへこんでいるか」だけではありません。
「笑ったときに、もともとの頬のボリュームがどう見えるか」も大切にしています。
注入前は、表情と角度を変えて確認します
診察では、次のような点を意識しています。
- 真顔のときの頬の丸みやくぼみ
- 笑ったときの頬の高さとボリューム
- 正面・斜め・横から見た顔全体のバランス
- 表情を変えたときの左右差や自然な動き
こうした確認をもとに、どこに、どの程度の注入が必要かを考えます。
笑顔の確認だけで過剰な仕上がりを必ず防げるわけではありませんが、注入量や部位を慎重に判断するための大切なステップです。
Less is more — 必要なところに、必要な分だけ
私が目指しているのは、ヒアルロン酸を入れたことが目立つ顔ではなく、その方らしさを残した自然な仕上がりです。
「Less is more」は、単に注入量を少なくするという意味ではありません。一人ひとりの骨格や組織の状態、表情の動きを見ながら、必要なところに、必要な分だけ補うことを大切にしています。
真顔のときも、笑ったときも、自然に見えること。
ただボリュームを足すのではなく、バランスと表情を守ることが、私のヒアルロン酸治療の基本です。
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