【産婦人科医/DrTanakaのつぶやきの部屋】第3回 テーマ”更年期”

今回は”更年期”をテーマとしたシリーズNo.2
更年期の治療は一つではありません――あなたに合った方法を一緒に探しましょう〜
更年期外来では、同じ年齢の方でも、お困りの症状がまったく違います。
だからこそ私は、決まったお薬を一律に処方するのではなく、症状や体質、これまでの病歴、日々の暮らしを伺いながら治療を考えています。
治療の選択肢の一つが、HRT(ホルモン補充療法)です。
減少した女性ホルモンを補う治療で、特にホットフラッシュや発汗には高い効果が期待できます。実際の外来でも、ほてりがつらい方には、まず検討したい治療の一つです。
エストロゲン製剤には、皮膚に貼るパッチや塗るゲルなどがあります。子宮がある方では、原則として子宮内膜を守るための黄体ホルモン製剤も組み合わせます。
パッチが便利な方もいれば、かぶれが気になり、ゲルのほうが使いやすい方もいます。飲み薬も含め、使いやすさや体調を相談しながら調整していきます。
一方で、HRTにも注意すべき点があります。
乳がんの治療中や既往歴のある方には原則として使用できず、乳がんのリスクについては、使用するホルモンの組み合わせや期間によって異なる研究結果が報告されています。
治療を始める前には病歴や健康状態を確認し、治療中も定期的な乳がん検診や婦人科の診察を受けていただくことが大切です。
漢方薬も、私が日々の診療で大切にしている選択肢です。
冷えやのぼせ、イライラ、むくみ、痛みなどに加え、寝つきが悪いといった入眠困難や、夜中に何度も目が覚めてしまう中途覚醒など、睡眠に関するお悩みにも漢方薬を検討することがあります。
表れている症状だけでなく、漢方診察で体全体の状態を確認し、一人ひとりに合った処方を考えます。処方して終わりではなく、その後の変化を伺いながら、その都度調整していきます。
特に、関節痛を訴える患者さんも少なくありません。外来でも、痛みや腫れの状態に応じて漢方薬を選ぶことがあります。もちろん、関節リウマチなど、ほかの病気が隠れていないかを確認することも大切です。
また、頻尿や尿もれなどのお悩みにも、それぞれに合った治療があります。尿もれの種類や頻尿の原因を確認し、必要に応じてお薬や骨盤底筋トレーニングなどを組み合わせながら、症状の改善を目指します。
そして、なかなか相談しづらいのが、腟の乾燥や性交時の痛みなど、デリケートゾーンのお悩みです。
女性ホルモンの減少によるこうした症状には、保湿剤や潤滑剤、局所的なホルモン療法などの治療があります。
その他、自由診療では腟ブースターの注入や腟レーザーなどの選択肢もあります。
デリケートゾーンのお悩みも、決して我慢する必要はありません。相談しにくいことだからこそ、安心してお話しいただければと思っています。
また、プラセンタ注射も更年期障害の治療の選択肢の一つです。
メルスモンという製剤には更年期障害に対する保険適用があり、一般的には45〜59歳の女性が対象となります。保険診療を行う医療機関では、診断や個々の状況に応じて治療が検討されます。
なお、プラセンタ注射を受けた方の献血制限は、2026年10月1日から変更されます。国内で承認されているメルスモンやラエンネックについては、最終投与日から3か月が経過すれば、ほかの献血基準も満たすことを条件に献血が可能になります。
そのほか、エクオールなどのサプリメントについても、期待できる効果や注意点をお伝えしながら、患者さんと一緒に考えています。
大切なのは、治療に患者さんが合わせるのではなく、その方の暮らしに合う治療を探すこと。
「薬はなるべく少なくしたい」「まずは夜ぐっすり眠れるようになりたい」「ホットフラッシュを何とかしたい」。
そんな希望も、遠慮なく教えてください。
更年期の症状も、治療の選び方も、人それぞれです。
まずは、どのような症状にお困りなのか、ご希望も含めてお聞かせください。ご自身に合った治療を考えるきっかけになればと思っています。
次回は、HRTを安心して続けるために知っておきたいことや、治療中の健康管理についてお話しします
アンチエイジング治療&美容婦人科の
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